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音の名匠、アル・シュミット逝く

-for beautiful landscape with music-

BRAVO Café ブログ #14

2021年4月28日

数日前、世界的なメゾソプラノ、クリスタ・ルートヴィヒの訃報が飛び込んできたので、彼女のことを書こうと思っていた矢先、録音エンジニア、アル・シュミット逝去の知らせを受けました。お二人とも90歳をこえているので、早すぎる死という思いはないのですが、本当に昨日まで現役で仕事をしつづけていたような印象があり、この世にはもういないのだということが、なかなか理解できません。

とりわけ、4月の半ばに出版されたばかりの「トミー・リビューマのバラード〜ジャズの粋を極めたプロデューサーの物語」を読んでいるところだったので、リピューマとの名コンビで数々の名盤を残したシュミットの訃報には驚きました。

ジョージ・ベンソン、マイケル・フランクス、バーブラ・ストライザンド、ダイアナ・クラール、メロディー・ガルドー、スティーリー・ダン、ナタリー・コール、クインシー・ジョーンズ、ポール・マッカートニー、ノラ・ジョーンズ、フランク・シナトラなどなど、ざっと思い出すだけでもキラ星のごときアーティストたちのレコーディングを手がけた音の名匠、アル・シュミットが受賞したグラミーは23を数え、ゴールド、プラチナディスクの数は150をこえています。

ジーンズにネクタイというカジュアルな姿がカッコよく、彼が自宅でEclipseのTD-M1というアクティヴスピーカーを使っていると聞いて、すぐさま私もそれを買い込んでしまったという思い出もあります。

大御所、ボブ・ディランはシュミットとの仕事を切望し、自分のスケジュールの方を調整したほどで、ミュージシャンたちがどれほどシュミットの音づくりを必要としていたかがわかります。ちなみに、ディランとの初仕事は、なんとシュミット85歳のときでした。

2012年にシュミットが録音したポール・マッカートニーの「キス・オン・ザ・ボトム」は、私がハイレゾ機材のリファレンスのときに良く聴きますが、今日は追悼の意を込めてじっくりと味わいたいと思います。

このアルバムのプロデューサーはトミー・リピューマ、演奏のサポートに入るのは、ダイアナ・クラール、スティービー・ワンダー、エリック・クラプトンたちと言うじつに豪華なメンバーです。

(BRAVO Café 店長)