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プロデューサーに聞く
「福田進一 ザ・ギターレッスン」制作秘話―②

ベストセラーアルバム「デュオ・コンチェルタンテ」は音質の良さでも評価が高い

2021年6月5日

――前回は、白柳さんと福田さんの出会い、さらに、ライナー・キュッヒルさんと福田さんを結びつけるプロデュースの話までお伺いしました。

実際、録音に至るまでの道のりは平坦なものではありませんでした。何しろ、お二人とも世界的な演奏家で、超多忙であるわけですから、スケジュール調整が難航しました。録音には3日間必要という前提があったのですが、なかなかお二人の時間が合わない。ようやく2016年の11月9日〜11日という日程が決まったのですが、今度はホール選びに苦戦することになります。

――録音会場というのは意外に押さえるのがたいへんなのですね。

はい、1日でよければ問題ないのですが、3日間連続で朝から晩まで押さえるとなると、かなり選択肢は狭まってきます。交通の便を意識するのは当然ですが、それよりも音響の良さと遮音性、録音のためのインフラが整備されているかどうかなど、多角的な要素が検討課題に入ってきます。とにかく、思いつくところに片っ端から電話をかけて、ようやくさいたま市にある、さくらホールを探し当てました。

そこまでは良かったのですが、次に生じた問題は、さくらホールがプラザウエストという公共施設の中にあり、ホールに隣接してさまざまなリハーサルルームがあるのです。そこで、和太鼓やロックバンドの練習があるかもしれないという恐れがあったため、ついに、プラザウエスト全館を借り上げるということなりました。予算的にはプロデューサー泣かせですね。

――結果的に、音質の面でも評価が高いアルバムが完成することになりました。

福田さんは録音に際し、2台のギターを持ってきてくれました1台は現代の楽器、もう1台は、1829年にガエターノ・ガダニーニ2世によって製作された、いわゆる19世紀ギターです。さくらホールに響く音を聴くなり、わたしたちは19世紀ギターでの収録を決めました。キュッヒルさんのヴァイオリンは、1857年にウィーンで製作されたGabriel Lemböckだったので、期せずして19世紀の音楽を往時に作られた楽器の音で収録することになったわけです。

録音エンジニアは音の名匠・深田晃さん、わたしにとっては盟友と呼べる貴重な存在ですが、二人の巨匠が演奏した音を見事に捉え、素晴らしい仕上がりにしてくれました。音楽ソフトとしてはSACDでリリースし、さらに、DSD 11.2MHz、192kHz 24bitというハイスペックでのハイレゾ配信も行っています。

――「ザ・ギターレッスン」の録音エンジニアも深田晃さんですね。

そのとおりです。言うまでもなく、レッスン中の音声は、語りも演奏も全てハイレゾ収録しています。画像は4K収録ですが、映像監督の大墻敦さんとの出会いも、「デュオ・コンチェルタンテ」が大きく関わってくるのです。

――なるほど、すべての始まりは「デュオ・コンチェルタンテ」と言う感じですが、続きは次回をお楽しみに。

(BRAVO Café 番組ディレクター)

こだわりの音質は試聴でご確認ください↓