――前回は、福田進一さん初の書き下ろし書籍「6弦上のアリア」が「ザ・ギターレッスン」制作のきっかけになったというお話を伺いました。
「6弦上のアリア」に添付するDVDを、大墻敦さんと撮影したことで、マスタークラスのライブシーンを映像に収めるという発想が生まれました。それからしばらくの間、レッスンの企画は私たちの頭の中で熟成されていきました。
――ちょうどその頃、福田さんは映画「マチネの終わりに」のギター演奏場面の指導などで多忙な日々を送ることになります。
ギタリストが主人公である小説「マチネの終わりに」は、平野啓一郎さんの傑作ですが、これが映画化されるという話を聞き、驚きました。劇中に登場するバリオスの「大聖堂」などの扱いをどうするのか?配役はどのようになるのか?小説と同じく東京とパリが撮影現場になるのか?などなど、興味はつきませんでした。
――実際に福田さんから映画の内容を聞いたのですか?
おそらく、福田さんは主役が福山雅治さんと石田ゆり子さんに決まったことなど、全ての内容をご存知だったと思いますが、さすが大物はそのようなことなどお首にも出さず、「今度映画を手伝うことになった」くらいの話しかしてくれませんでした。
やがて映画の制作が進行し、情報解禁になった後で、福田さんが福山さんのギター演奏場面を監修し、新しく映画のために演奏してサウンドトラックを録音していることを知りました。それやこれやで、映画の仕事が一段落するまで、ギターレッスンの企画は棚上げにしていたのですが、やがて、福田さんの方から思いも寄らない企画が持ち込まれたのです。それは、石田ゆり子さんを、「ザ・ギターレッスン」のゲストにお招きするという驚きの内容でした。
(つづく)
(BRAVO Café 番組ディレクター)